q-BOOK

内容は、ないよう。

晩春

THE WORLD IS MINE

THE WORLD IS MINE


岸田くんの声は、懐かしくて甘い胸の痛みを思い起こさせる。



久しぶりにくるりを聴いてみた。

曽我部バンド・サニーデイサービスと同じように、

くるりもボーカリスト岸田繁を絶対的に中心に据えた

強いバンドであるような気がする。


学生のころ、熊本ジャンゴで初めてくるりを見た。

ズボンズの前座を演るというので、みゆみゆと遠征したのだ。


まだまだ、今のようにくるりは知られていなくて、

大勢のズボンズファンの前に、彼らは地味に登場した。

ひとつの歓声もない静かな空気の中、

地味にセッティングをし、

地味にチューニングをして、

大げさなほどにカッコいい『モノノケ姫』や

ウソのように美しい『東京』を(轟音で)演奏したのだ。


3人は、荒々しく輝いていた。


それから何度か新曲を心待ちにし、ライブで胸を震わせてきたけれど、

モッくんが抜けて、違和感が生まれ、今では疎遠になってしまっている。

サニーデイが解散したときもそうだったが、

私は、好きな気持ちが強かっただけ、反発する速度も速いようだ。

拒否してるわけではないけれど、

新曲を楽しみにしたり、ライブに行ったりすることはもうないような気がする。

私が歳を取ったせいもあるのだろうな。


今、なんとなくディスクを選び、ステレオを鳴らしているのだが、

センチメンタル。

晩春の夕暮れに、とても良く似合う音楽だと思う。