q-BOOK

内容は、ないよう。

チャロフ

妹の部屋に行ったら、キャバリアの子犬がいた。
ずっと欲しくて、
お金を貯めつつ(10万円ですってよ、奥さん!)、
ペットショップに通って、
つい最近飼い始めた子犬だそうだ。
ひいおじいちゃんが何かのチャンピオン犬らしく、
恭しくも『血統書付き』というご身分だ。
実家でも代々ずっと犬を飼っているが、みんな雑種犬だった。
ので、なんだか血統書付きというだけで、
ものすごく気品があるように見えてくる。
名を、チャロフという。
何の因果かうちのいたちっこと同じ名前だ。
私がゴンをそう呼んでいるのを聞いて、いただき、と思ったらしい。
ぬいぐるみみたいな、嘘みたいにものすごく可愛い子犬だった。
まだ生まれて3ヶ月ほどの女のこ。
抱き上げると、がぶがぶと指を甘噛みする。
まだ子供だし、うちのチャロのように牙がするどくないので、
痛くない。
舌もなめらかですごく気持ちが良かった。
ケージに戻すと、くーくー、と甘えた声で鳴いていた。
やばい。
犬バカになってしまう。
うちの妹はわりとしつけをするほうなので、
大丈夫と思うけど、私はきっとダメだ。
犬と同じ目線か、ヘタしたら自分のほうが下になってしまって、
立派なバカ犬を育ててしまうことだろう。
実際このチャロフ(血統書付きのほう)が可愛くて可愛くて、
持って行ったカメラで思わずカメラ小僧になる。
茶色と白の柔らかい毛、つぶらな瞳がたまらない。
まんまるい頭のうしろが、ほんのりシャンプーとミルクの混ざった匂いがして、
ふぐふぐと何度もかいだ。
ずっしりとした温かいおなか。栄養が詰まっているの?
短い骨太の手脚に、ぷかぷかの肉球
チャロフの長細いしっぽは、ずっとぱたぱたと振られていた。
ああもう、好きにならずにはいられないよ。
ほんの数時間で、飼い主よりも親バカになってしまった私でした。
・・・
『さようなら 明日また会えるように 指切りをして』

ハローグッバイ

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